ピンの『iシリーズ』アイアンは世界中で
高く評価されています。
2018年の『i210』、2022年の『i230』を合わせるとツアーでは100勝以上をあげています。
今年は約3年振りにリニューアルした『i240』が登場。
バックフェースのデザインが一新され、キャビティ構造になった新モデルの性能について
ピンゴルフジャパン ハードグッズプロダクト担当の山崎力さんに話を聞きました。
――今回の『i240』は、『i230』からガラッと雰囲気が変わりましたね。
山崎 たしかにデザインや雰囲気は変わりましたが、ヘッドサイズ、ソール幅、トップラインの厚みは『i230』と全く同じです。アドレスしたときの見え方も『i230』と変わっていません。 ただし、『i240』はサイズ感を変えることなく寛容性、慣性モーメントを高めています。『i230』も同じサイズのアイアンと比較すると慣性モーメントが大きかったのですが、『i240』は重心を約3%※¹深くしたことにより、慣性モーメントはアイアンセット全体で約4%※¹大きくなっています。プレイヤーテストの結果では約11%※¹も打球のバラツキを抑えられました。アイアンとしては初心者やアベレージゴルファー用の大型ヘッドと同じレベルのやさしさですが、シャープで、美しいキャビティアイアンに仕上げています。
――『i240』は大型ヘッドと同じやさしさなのですか?
山崎 市場にある、『i240』と同じサイズのアイアンを比較すると約10〜20%~※¹くらい慣性モーメントが大きくなっており、大型ポケットキャビティと同等レベルの慣性モーメントです。寛容性が高く、高弾道で狙えるやさしさがあり、特に『i230』と比較すると3番アイアン、4番アイアン、5番アイアンの慣性モーメントが特に大きくなっています。ロングアイアンでミスヒットにも強く、球がしっかり上がってグリーンを狙えるやさしがこのシャープなヘッドに詰まっています。
――サイズ感は同じでも、アドレスしたときは『i240』の方が安心感がありますね。
山崎 実はスコアラインの本数を変えています。7番アイアンで比較すると『i230』は18本ありましたが、『i240』は13本。スコアラインが減ったことで視覚的にフェース面が広く見える効果があり、アドレス時に安心感が生まれ自信を持ってスイングできるような設計になっています。 プレイヤーテストでも、この効果を実感するゴルファーが多く、実際にヘッドサイズはほぼ同等ですが、ヘッドが大きくなったと感じるゴルファーもいて、見た目のやさしさも向上しています。ピンが研究しているメンタルの部分でのパフォーマンス向上につながっているので、ぜひ比較してみてください。違いに気づくはずです。
――どうやって、ツアーモデルの形状のまま慣性モーメントを大きくしたのですか?
山崎 アイアンで慣性モーメントを大きくするにはヘッドサイズを大きくすることが一番簡単です。しかし、それでは『iシリーズ』ではなくなってしまう。今回はサイズを変えることなく、ヘッドの周辺に重量を配分することで慣性モーメントを大きくしています。一番変わったのは、デザイン的にも変化したバックフェースのバッジです。バッジ素材にやわらかくて軽い複合素材と軽量カーボン採用したことで約60%※²も軽量化しています。バックフェースの中央部分が余剰重量が生まれた分、重量を周辺に配分することで慣性モーメントが大きくなりました。
ちなみに『i200』シリーズを振り返ると、『i200』から『i210』になったときに慣性モーメントが約3%※¹も向上。『i230』ではさらに約3.5%※¹、そして『i240』では約4%※¹も大きくなっています。ピンの開発哲学である「前作を超えないかぎり、新製品は発売しない」というコンセプトは、アイアンにももちろん継承されています。
――今までの『iシリーズ』はツアーモデルという印象が強かったのですが、なぜ『i240』はさらなるやさしさにこだわったのでしょうか?
山崎 ピンはフィッティングを非常に重要視しており、フィッティングを軸に置いた製品開発を行っています。アイアンの開発でもフィッティングを大前提に考えています。実は昨年発売した『ブループリントS』は今までの『ブループリント』になかった寛容性があり、日本国内でもロングセラーになりました。女子ツアーでも『ブループリントS』を使っている選手が活躍しました。ただし、アイアンの性能としては『i230』に少し近くなってしまったという声がありました。一方で、G440はG430よりもシャープなになりましたが、非常に寛容性の高いやさしいアイアンになっています。その結果アイアンのチャート図で考えたときに『G440』と『i230』の間が少し空いてしまった。フィッティングをする上でも良くありません。それを解決するために『i240』では『i230』よりもやさしさを重視するというのが開発コンセプトでした。当社のアイアンとしては全ゴルファーの「ど真ん中」になるのが『i240』です。
i240 | 番手 | Weak | スタンダードロフト (US標準) |
Strong | パワースペックロフト (日本標準) |
||
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1 | 2 | 1 | 2 | ||||
#3 | 21.0 | 20.0 | 19.0 | 18.0 | 17.0 | 19.0 | |
#4 | 24.5 | 23.5 | 22.5 | 21.5 | 20.5 | 22.0 | |
#5 | 28.0 | 27.0 | 26.0 | 25.0 | 24.0 | 25.0 | |
#6 | 31.5 | 30.5 | 29.5 | 28.5 | 27.5 | 28.0 | |
#7 | 35.0 | 34.0 | 33.0 | 32.0 | 31.0 | 31.5 | |
#8 | 39.0 | 38.0 | 37.0 | 36.0 | 35.0 | 35.5 | |
#9 | 43.0 | 42.0 | 41.0 | 40.0 | 39.0 | 40.0 | |
PW | 47.0 | 46.0 | 45.0 | 44.0 | 43.0 | 44.5 | |
UW | 52.0 | 51.0 | 50.0 | 49.0 | 48.0 | 49.5 |
日本市場ではパワースペックロフトを標準採用していますが、カスタムオーダーにより、スタンダードロフト(US標準)から±1度/2度のロフト調整が可能です。
――ロフト角も7番アイアンで31.5度になっているので、アイアン全体の中間くらいですね。
山崎 『G440』の7番アイアンが29度で、『ブループリントS』の7番アイアンが33度なので、『i240』の31.5度は真ん中に位置します。ただし、もちろんロフト角の調整は可能です。前作の『i230』は7番アイアンが33度でしたが、『i240』でも同じロフト角に調整可能です。ピンではアイアンを出荷するときに全てのクラブのロフト角とライ角を1本1本調整してから出荷しています、その際に指定のロフト角に調整するだけですので、上記の表の中であれば調整が可能です。ゴルファーのパフォーマンスを最大化するために、ロフトの指定が可能です。日本市場では、今回の『i240』はど真ん中のスペックになるよう、”パワースペック”という少し距離が出るようなロフトセッティングを標準採用しております。
――パワースペックというのは、ただロフトを立てることではないのですか?
山崎 はい、単純に全番手のロフト角を立てているわけではありません。番手間の距離が揃うアイアンセットにするために、ロフト角を立てつつ、ロフトピッチを細かく調整しているのがピンのパワースペックです。『i240』では5番アイアンと6番アイアンのロフトピッチは3度ですが、6番アイアンと7番アイアンになると3.5度、7番アイアンと8番アイアンになると4度、8番と9番は4.5度になっています。ロフトを1度や2度など、均一に立てるのではなく、クラブのロフトや長さなどの影響を考慮して番手間の飛距離差が均一化されるように調整しております。それでもゴルファーによっては、6番と7番の差は12ヤードだが、7番と8番の差が9ヤードしかないといった場合に、8番アイアンのロフトを1度寝かすなどの調整も可能です。アイアンにとって、番手間の飛距離差は非常に重要な要素ですので、自分にピッタリ合ったロフトを設定してほしいです。
――ちなみにここまで構造、デザインが変わると打感は変化してしまうのでしょうか?
山崎 『i240』はキャビティ構造になりましたが、キャビティ内部にピン独自のエラストマーCTP(カスタム・チューニング・ポート)を入れることで心地良い打感に仕上げています。
打感についてはよく誤解されがちなのですが、軟鉄鍛造アイアンだからと言って必ずしも打感が良いわけではありません。打感に最も影響するのはヘッド構造と打点部分の「厚み」です。『i240』はステンレス素材ですが、打点部分にエラストマーCTPを入れることによって打球音を抑えて打感をやわらかくしています。
今年は新世代のGシリーズとして『G440』が
発売されていますが、
『i240』も新時代の『iシリーズ』です。
『i210』『i230』を使っている中上級者にはよりやさしい『iシリーズ』として、
今まで『iシリーズ』を使えなかったゴルファーにははじめての『iシリーズ』として、
ピンアイアンの『ど真ん中』に君臨するでしょう。